
プロペシア(フィナステリド)の飲み合わせの注意点はある?
併用注意の薬から食べ物まで専門医が徹底解説【医師監修】
本記事はAGA治療の専門医院として20年以上の実績がある、リブラクリニックが制作したものです。
プロペシア(フィナステリド)はAGA(男性型脱毛症)治療に広く用いられるお薬ですが、他の医薬品や食品、サプリメントとの飲み合わせによっては、効果に影響が出たり、予期せぬ副作用のリスクが高まったりすることがあります。
本記事ではプロペシアを安全かつ効果的に使用するために知っておくべき「飲み合わせ」に関する情報を、専門的な観点から詳しく解説します。
なおプロペシアの効果や副作用、費用などについては、別の記事で詳しく解説していますので、ぜひ下記記事もご覧ください。
プロペシア(フィナステリド)とは?効果・副作用・費用から注意点まで専門医が徹底解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
この記事の監修者
座右の名は「努力こそ金なり」、趣味は釣り。
プロペシア(フィナステリド)に「併用禁忌薬」はある?飲み合わせの基本的な考え方
まず結論からお伝えすると、プロペシア(フィナステリド)の添付文書において「併用禁忌」、つまり絶対に一緒に使ってはいけないと指定されている薬は現在のところありません。
しかし、「併用禁忌ではない=どんな薬と組み合わせても安心」というわけではありません。「相互作用」という観点から、注意が必要なケースが存在します。
相互作用と併用注意とは?
『相互作用』とは、複数の薬を併用した際に、それぞれの薬が体内で吸収・代謝・排泄される過程や、薬理作用を発揮する箇所で影響を及ぼし合い、薬の効果が強まったり弱まったり、あるいは予期せぬ副作用が現れることを指します。
『併用注意』とは、併用禁忌ではないものの相互作用のリスクがあるため、併用する際には医師や薬剤師の指導のもと、慎重な判断や観察が必要とされる組み合わせのことです。
これらの用語を理解することは、プロペシア(フィナステリド)を使用する上で非常に重要です。相互作用や併用注意の概念を把握することで、より安全な治療選択が可能になります。
プロペシア(フィナステリド)と飲み合わせに注意が必要な医療用医薬品
プロペシアは主に肝臓で代謝されるため、同じく肝臓で代謝される薬や、肝機能に影響を与える可能性のある薬との併用には注意が必要です。
また、特定の薬効を持つ医薬品との組み合わせも慎重な判断が求められます。以下に代表的な例を挙げますが、これらはあくまで一部であり、常用薬がある場合は必ず医師に申し出てください。
肝臓の働きに影響を与える可能性のある薬(特にCYP3A4阻害薬)
プロペシアの有効成分フィナステリドは、主に肝臓の薬物代謝酵素「CYP3A4」によって代謝されます。
このCYP3A4の働きを強く阻害する薬と併用すると、フィナステリドの血中濃度が上昇し、効果が強く出すぎたり、副作用のリスクが高まったりする可能性があります。
代表的な薬剤例は以下のとおりです。
- 一部の抗真菌薬(例:イトラコナゾール、ケトコナゾールなど)
- 一部の抗生物質(マクロライド系:クラリスロマイシン、エリスロマイシンなど)
- 一部の抗ウイルス薬(HIVプロテアーゼ阻害薬:リトナビル、インジナビルなど)
- 一部の胃薬(シメチジンなど ※現在は使用頻度が減少傾向)
これらの薬を服用中、または新たに服用を開始する場合は、必ずプロペシアを処方する医師に相談してください。
血圧に影響を与える薬(降圧剤など)
プロペシア自体に直接的な強い血圧降下作用は報告されていませんが、一部の降圧剤(ACE阻害薬やARBなど)との併用で予期せぬ血圧低下を招く可能性について言及する情報源もあります。
特にミノキシジル内服薬(AGA治療薬でもある)との併用は血圧低下のリスクがあるため注意が必要です。降圧剤を服用中の方は、プロペシア開始前に必ず医師に申告し、指示を仰いでください。
男性ホルモンに影響を与える薬
プロペシアは5αリダクターゼを阻害し、テストステロンからDHT(ジヒドロテストステロン)への変換を抑制することでAGAの進行を抑えます。
そのため、他の男性ホルモン製剤(テストステロン補充療法など)や抗アンドロゲン作用を持つ薬との併用は、プロペシアの効果を弱めたり、逆に男性機能への影響を強めるなど、体内のホルモンバランスに影響を与える可能性があります。
男性ホルモンに関連する治療を受けている場合は、必ず医師に相談してください。
特定の精神・神経系に作用する薬(一部の抗うつ剤など)
まれに、プロペシアと特定の抗うつ剤(SSRI:選択的セロトニン再取り込み阻害薬や三環系抗うつ薬など)との併用で、セロトニン症候群のリスクが高まる可能性が指摘されています。
セロトニン症候群は、体内のセロトニン濃度が過剰になることで起こる、意識障害や筋硬直などを伴う重篤な状態です。抗うつ剤やその他の精神・神経系のお薬を服用している場合は、必ず医師に確認してください。
他のAGA(男性型脱毛症)治療薬
- ザガーロ(デュタステリド): プロペシア(フィナステリド)と同様に5αリダクターゼ阻害薬ですが、作用範囲が異なります。基本的にこれらを併用することはありません。効果の重複や副作用リスク増大の観点から、医師はどちらか一方を選択します。
- ミノキシジル外用薬(塗り薬): 一般的に全身性の相互作用のリスクは低いとされますが、使用は医師の指示に従ってください。
プロペシア(フィナステリド)と特に注意が必要な医療用医薬品の例
薬の種類 | 具体的な薬剤名の例 | 注意が必要な主な理由 |
---|---|---|
CYP3A4阻害作用のある薬 | イトラコナゾール、ケトコナゾール、クラリスロマイシン、エリスロマイシン、リトナビル、インジナビル、シメチジン | フィナステリドの血中濃度が上昇し、副作用のリスクが高まる可能性 |
血圧降下薬 | ACE阻害薬、ARB、ミノキシジル内服薬など | 併用により予期せぬ血圧低下を招く可能性 |
男性ホルモン関連薬 | テストステロン補充療法、抗アンドロゲン薬 | プロペシアの効果減弱、または男性機能への影響増強の可能性 |
特定の抗うつ剤 | SSRI、三環系抗うつ薬など | まれにセロトニン症候群のリスクを高める可能性 |
他のAGA治療薬 | ザガーロ(デュタステリド) | デュタステリド:効果重複・副作用増大の可能性。 |
市販薬(風邪薬・痛み止めなど)との飲み合わせ
日常的によく使われる市販の風邪薬や頭痛薬(解熱鎮痛剤)については、プロペシア(フィナステリド)との間で重大な相互作用を引き起こすものは基本的にないとされています。
しかし、いくつかの成分については理論上、肝臓での代謝が競合する可能性などが指摘されており、念のため注意するに越したことはありません。
注意しておきたい市販薬の成分
- アセトアミノフェン: 多くの総合感冒薬や解熱鎮痛剤に含まれるこの成分は、プロペシアと同じく肝臓で代謝されるため、大量に、または長期間服用する場合、肝臓への負担が増加する可能性があります。
- イブプロフェン: 軽微な相互作用の可能性が示唆されることがありますが、臨床的に大きな問題となることは稀と考えられています。
市販薬を選ぶ際のポイント
- 購入時には薬剤師にプロペシアを服用していることを伝える
- 複数の薬を自己判断で併用しない
- 症状が長引く場合やどの薬を選べばよいか迷う場合は医療機関を受診する
プロペシア(フィナステリド)とED治療薬の併用について
プロペシアの副作用として、性欲減退や勃起機能不全(ED)が報告されることがあります。
発生頻度は低いものの(1%程度とされています)、特に性機能に関心が高い世代の方にとっては大きな懸念事項となり得ます。
結論、プロペシアとED治療薬の併用は可能
バイアグラ(シルデナフィル)、バルデナフィル、シアリス(タダラフィル)などのED治療薬とプロペシア(フィナステリド)は、併用禁忌にはなっていません。
両者を併用しても、健康被害が起こるという報告は基本的にありません。
プロペシアが原因と思われるED症状に対して、ED治療薬は有効な選択肢の一つです。
興味深いことに、プロペシアの服用による性機能低下の不安が心理的な要因(心因性ED)を引き起こしている場合もあり、ED治療薬の使用がその不安を解消する助けになることもあります。
EDの症状やプロペシアの副作用について不安がある場合は、自己判断せずに医師に相談することが最も重要です。
プロペシア服用中の性機能に関するお悩みや、ED治療薬の併用についてご不安な方は、どうぞお気軽にリブラクリニックのオンライン診療をお申し込みください。
サプリメントや健康食品との飲み合わせ
多くの場合、一般的なビタミンやミネラルなどのサプリメントとプロペシア(フィナステリド)の併用は問題ないとされています。
一般的に併用が問題ないとされるサプリメント
- ビタミン類(ビタミンB群、ビタミンC、ビタミンEなど)
- ミネラル類(亜鉛、鉄分など ※過剰摂取には注意)
- タンパク質(プロテインなど)
注意が必要なサプリメント
- セントジョーンズワート(セイヨウオトギリソウ): 薬物代謝酵素(CYP3A4など)を誘導する作用があり、プロペシアの代謝を早めて効果を減弱させたり、逆に相互作用で副作用リスクを高める可能性が指摘されています。
- ホルモンバランスに影響を与える可能性のあるサプリメント: ノコギリヤシ(ソーパルメット)など、男性ホルモンや5α還元酵素に何らかの影響を及ぼす可能性が示唆される成分を含むサプリメントは、プロペシアとの作用が競合したり、予期せぬ影響が出る可能性も否定できません。
- 過剰摂取による肝臓への負担: 特定の成分や品質の不明な海外製サプリメントなどは、肝臓に負担をかけることがあります。
サプリメントを利用する際の心構え
服用しているサプリメントは全て医師に伝えるようにしましょう。
サプリメントには天然成分を使用していることを謳っているものもありますが、「天然成分=安全」とは限らないことを理解しましょう。
当然ながら、効果や安全性が不明確なものは避けることも重要です。
飲み物・食べ物で気をつけるべきこと
グレープフルーツ(ジュースも含む)
グレープフルーツに含まれるフラノクマリン類という成分が、小腸や肝臓に存在する薬物代謝酵素CYP3A4の働きを阻害します。
これにより、CYP3A4で代謝される薬の血中濃度が上昇し、プロペシアの作用が強く出すぎたり副作用のリスクが高まったりすることが知られています。
プロペシア(フィナステリド)との関連については、情報にばらつきがあります。
一部の医療情報では、フィナステリドもCYP3A4で代謝されるため、グレープフルーツとの併用で血中濃度が上昇する可能性を指摘し、避けるべきとする意見があります。
一方で他の薬剤ほどグレープフルーツによる影響は大きくない、あるいは臨床的に問題となるほどの相互作用は報告されていないとする見解もあります。
最も安全なアプローチは慎重な対応をとることです。念のためプロペシア服用期間中はグレープフルーツ及びグレープフルーツジュースの摂取を控えるか、事前に医師や薬剤師に相談するのが最も安全な対応と言えるでしょう。
アルコール(お酒)
プロペシア服用中にお酒を飲んでも、直ちに重大な問題が起こるわけではありません。適量であれば問題ないとされています。
しかし、過度な飲酒は肝臓に負担をかけます。プロペシアも肝臓で代謝されるため、日常的な過度な飲酒は肝機能への負担を増大させ、長期的には薬の代謝に影響を与える可能性があります。
また、飲み過ぎによるプロペシアの服用忘れも、治療効果が得られない原因となります。
プロペシア服用中の飲酒は、適量を心がけ、休肝日を設けるなど、肝臓に配慮した飲み方をすることが望ましいです。
プロペシア(フィナステリド)服用中の食事・嗜好品に関する注意点
品目 | 相互作用の可能性・懸念点 | 推奨される対応 |
---|---|---|
グレープフルーツ/グレープフルーツジュース | CYP3A4阻害作用によりフィナステリドの血中濃度が上昇する可能性が一部で指摘されるが、影響は大きくないとの見解もある 。 | 情報にばらつきがあるため、念のため摂取を控えるか、医師・薬剤師に相談する。特に他の薬剤を併用している場合は注意。 |
アルコール(お酒) | 適量であれば通常問題ない。過度な飲酒は肝臓への負担を増大させ、プロペシアの代謝に影響する可能性やAGA改善を妨げるリスクがある。服用忘れの原因にもなり得る 。 | 適量を心がけ、休肝日を設けるなど肝臓に配慮する。飲み過ぎに注意し、毎日の服用を忘れないようにする。 |
プロペシア(フィナステリド)を安全かつ効果的に使い続けるために
医師への正確な情報提供
以下の情報を正確に伝えることで、医師は適切な判断を下しやすくなります。
- 現在服用中の全ての医療用医薬品(他の病院や診療科で処方されたものも含む)
- 使用している市販薬、サプリメント、漢方薬
- アレルギー歴、既往歴(特に肝機能障害など)
- 飲酒や喫煙などの生活習慣
定期的な医師の診察とコミュニケーション
治療効果の確認だけでなく、副作用の早期発見や、体調変化に応じた対応のためにも定期的な診察は欠かせません。
何か気になる症状が出た場合や、新たに薬を飲み始める/やめる場合には、速やかに医師に相談しましょう。
正規品の入手について
個人輸入などで入手したプロペシア(フィナステリド)には偽造薬のリスクが伴います。
有効成分が含まれていなかったり、不純物が混入している可能性があり、効果がないばかりか健康被害を引き起こす恐れもあります。
必ず医療機関で医師の診察のもと、正規品を処方してもらうことが安全な治療の大前提です。
まとめ
プロペシア(フィナステリド)は、医師の指導のもと正しく使用すればAGA治療に有効な薬です。
併用禁忌薬は基本的にありませんが、肝臓で代謝される薬、特定の作用を持つ薬、一部のサプリメントや食品(グレープフルーツなど)との間には相互作用の可能性があり、「併用注意」が必要です。
飲み合わせに関する正しい知識を持つことで、不安を軽減し、安心してプロペシア治療に取り組むことができます。
リブラクリニックでは、AGA治療専門の医師が、あなたの疑問や不安に丁寧にお答えし、一人ひとりに合った治療プランをご提案します。
当院で取扱の薬品
当院では国内正規品のオルガノン株式会社のプロペシア錠を処方しております。処方や服用方法に関して詳しくは下記ページをご覧ください。
プロペシア(フィナステリド)とは?効果・副作用・費用から注意点まで専門医が徹底解説【医師監修】
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