
ザガーロとプロペシアを切り替える際の効果や副作用について解説【医師監修】
本記事はAGA治療の専門医院として20年以上の実績がある、リブラクリニックが制作したものです。
AGA(男性型脱毛症)治療薬のザガーロ(デュタステリド)とプロペシア(フィナステリド)。治療を続ける中で「今の薬で本当に良いのか」「副作用が気になる」「もっと効果が期待できる薬はないか」と考えることは多いでしょう。
本記事ではザガーロとプロペシアの切り替えについて、医学的知見に基づき、切り替えの理由、期待できる変化、注意点などを解説します。正しい治療方法選択の理解を深めるために参考いただけますと幸いです。
この記事の監修者
座右の名は「努力こそ金なり」、趣味は釣り。
ザガーロとプロペシアの基本的な違い
どちらもAGAの進行を抑制する5αリダクターゼ阻害薬ですが、作用機序に違いがあります。
ザガーロ(デュタステリド)は5αリダクターゼのI型とII型を阻害し、プロペシア(フィナステリド)は主にII型を阻害します。
AGAの原因となるDHT(ジヒドロテストステロン)は5αリダクターゼによってテストステロンから変換されるため、デュタステリドの方がより強力にDHT産生を抑制します。
薬物動態の違い
デュタステリドは半減期が約3〜5週間と長く、体内からの消失に時間がかかります。
一方、フィナステリドの半減期は約6〜8時間と短いため、服用中止後の体内からの消失は比較的早期です。この違いが切り替え時の休薬期間の設定に影響します。
ザガーロとプロペシアについて詳しくは、下記記事をご覧ください。
- ザガーロ(デュタステリド)の効果や副作用、服用方法と注意点を解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
- プロペシア(フィナステリド)とは?効果・副作用・費用から注意点まで専門医が徹底解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
ザガーロとプロペシアの主な違い
ザガーロ | プロペシア | |
---|---|---|
有効成分 | デュタステリド | フィナステリド |
効果が出るまでの期間 | 6ヶ月〜1年 | 3ヶ月〜6ヶ月 |
効果効能 | 5αリダクターゼ(還元酵素)I型・II型を阻害 | 5αリダクターゼ(還元酵素)II型を阻害 |
効果のある部位 | 前頭部、頭頂部、後頭部 | 頭頂部、後頭部 |
主な副作用 | 勃起不全、リビドー減退、精液量減少 | 勃起不全、リビドー減退、その他(射精障害、精液量減少、下痢、胃不快感等) |
副作用の出る可能性 | 1%〜5%程度 | 0.2%〜1.3%程度 |
禁忌 | ・本剤の成分及び他の5α還元酵素阻害薬に対し過敏症の既往歴のある患者 ・女性、小児等 ・重度肝機能障害のある患者 | ・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 ・妊婦又は妊娠している可能性のある女性及び授乳中の女性 |
添加物 | ジブチルヒドロキシトルエン、中鎖モノ・ジグリセリド、ゼラチン、グリセリン、濃グリセリン、酸化チタン、三二酸化鉄、中鎖脂肪酸トリグリセリド、レシチン | 結晶セルロース、乳糖水和物、部分アルファー化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、ジオクチルソジウムスルホサクシネート、ステアリン酸マグネシウム、ヒプロメロース、ヒドロキシプロピルセルロース、酸化チタン、タルク、三二酸化鉄、黄色三二酸化鉄、カルナウバロウ |
当院取扱価格 | ザガーロカプセル(グラクソ・スミスクライン株式会社) ・0.5mg(1箱):10,500円 ・0.5mg(5箱):50,000円※1箱あたり10,000円 | プロペシア錠(オルガノン株式会社) ・1mg(1箱):8,200円 ・1mg(5箱):38,500円※1箱あたり7,700円 |
外形 | ![]() | ![]() |
費用の問題
AGA治療は自由診療のため、クリニックにより価格差がありますが、当院の費用は
- ザガーロ(先発品):10,000円〜10,500円
- ザガーロジェネリック(デュタステリド錠):5,000円〜7,000円
- プロペシア(先発品):7,700円〜8,200円
- プロペシアジェネリック(フィナステリド錠):4,000円〜4,900円
年間で考えると、ジェネリックのプロペシアとザガーロでは12,000円〜25,200円程度の差が生じます。長期治療を考慮すると、経済的負担は治療選択の重要な要素となります。
ザガーロからプロペシアに切り替える場合
メリット:副作用改善の可能性がある
ザガーロからプロペシアへの切り替えを検討する主な理由の一つが、副作用の軽減です。
特に性機能障害(性欲減退、勃起不全など)は、プロペシアの方がザガーロよりも発現率が低いとされているため、プロペシアへの切り替えによって症状が改善する可能性が期待できます。
実際に、ザガーロからプロペシアへ切り替えることで、多くの方で副作用の改善が報告されています。
性機能障害だけでなく、精神症状(うつ、不安感など)や身体症状(倦怠感、めまいなど)についても、改善が見られることがあります。
副作用の改善が現れるまでの期間には個人差がありますが、一般的には切り替え後、数週間から数ヶ月で症状の軽減を実感できることが多いようです。
ただし、副作用が完全に消失するとは限らず、症状の軽減を目指すことが現実的な目標となります。
デメリット:効果が弱まる可能性がある
ザガーロ(デュタステリド)はI型・II型の5αリダクターゼを阻害するのに対し、プロペシア(フィナステリド)は主にII型を阻害します。
このため、ザガーロはプロペシアと比較してより強力にDHTの産生を抑制するとされています。
したがって、ザガーロからプロペシアへ切り替えた場合、DHT抑制効果が若干弱まる可能性があり、これが発毛効果に一定の影響を与えることが考えられます。
逆に、既にザガーロで十分な発毛効果が得られている場合、プロペシアへの切り替えによってその効果を維持できるか、あるいはある程度の効果減弱が見られるかは、個人差や切り替えのタイミングなどにも左右されます。
プロペシアからザガーロに切り替える場合
メリット:より強力な発毛効果が期待できる
プロペシアからザガーロへの切り替えを検討する最大の理由は、より強力な発毛効果への期待です。
前述の通り、ザガーロの有効成分デュタステリドは、プロペシアのフィナステリドが主に阻害するII型に加え、I型の5αリダクターゼも阻害します。
この広範な作用により、DHTの産生をより強力に抑制し、プロペシアでは効果が不十分だったケースでも、発毛促進や抜け毛抑制効果の向上が期待されることがあります。
特にプロペシアを長期間使用しても改善が見られない、あるいは効果が頭打ちになったと感じる場合に、ザガーロへの切り替えが治療選択肢の一つとして考慮されます。
ただし、効果の現れ方には個人差があるため、必ずしも全ての人で期待通りの効果が得られるわけではありません。
デメリット:副作用の種類や頻度が変化する可能性がある
ザガーロはプロペシアよりも強力なDHT抑制作用を持つ可能性がある一方で、副作用の種類や頻度、程度が変化する可能性も考慮しなければなりません。
一般的に作用が強い薬剤は副作用のリスクも高まる傾向があるため、ザガーロへの切り替えによって、これまでプロペシアでは経験しなかった副作用が現れたり、既存の副作用が悪化したりする可能性も否定できません。
ザガーロで報告されている主な副作用には、性機能障害(勃起不全、リビドー減退、射精障害など)、肝機能障害、抑うつなどがあります。
切り替えを検討する際には、期待される効果と潜在的な副作用のリスクを十分に比較し、医師とよく相談することが不可欠です。
ザガーロの副作用について詳しくは、下記記事もご参考ください。
ザガーロ(デュタステリド)の効果や副作用、服用方法と注意点を解説【医師監修】 – AGA治療のリブラクリニック
薬剤切り替えの一般的な流れ
ザガーロからプロペシアへ、またはプロペシアからザガーロへの薬剤切り替えは、必ず医師の指導のもとで行う必要があります。
自己判断での切り替えは、予期せぬ体調変化やAGAの悪化を招く可能性があるため避けるべきです。
一般的な切り替えの流れとしては下記のようになります。
- まず医師に切り替えを希望する理由(副作用の悩み、費用面など)を詳しく伝えます。
- 医師は患者さんの状態やこれまでの治療経過を評価し、切り替えが妥当かどうかを判断します。
- 切り替えが適切と判断された場合、具体的な手順について説明があります。
- その後、薬の処方となりますので、指示に従って服用を開始してください。
なお、ザガーロからプロペシアへの切り替えの場合、ザガーロの有効成分デュタステリドは、プロペシアの有効成分フィナステリドに比べて体内からの消失が遅いため、通常はザガーロの服用を中止し一定の休薬期間を設けた後にプロペシアの服用を開始いただくことが多いです。
薬剤切り替え時の重要な注意点
ザガーロとプロペシア、どちらの方向に薬剤を切り替える場合でも、共通して注意すべき重要なポイントがいくつかあります。これらを守ることが、安全かつ効果的な治療移行の鍵となります。
医師の指導のもとで行う
繰り返しになりますが、薬剤の切り替えは、必ず医師の診断と指導のもとで行ってください。
AGA治療薬は専門的な知識を要する医薬品であり、個々の患者さんの状態に合わせた判断が必要です。
自己判断での切り替えは、効果が得られないばかりか、予期せぬ副作用や健康被害を引き起こすリスクがあります。
自己判断での中止・変更は避ける
現在服用している薬剤を自己判断で急に中止したり、用法・用量を変更したりすることは避けてください。
急激な変更は、AGAの症状を一時的に悪化させたり(リバウンド現象など)、新たな副作用のリスクを高めたりする可能性があります 。必ず医師の指示に従い、計画的に移行を進めることが大切です。
段階的な移行が推奨される場合もある
現在の薬剤を中止してすぐに新しい薬剤を開始する「即時切り替え」のほか、「段階的切り替え」といった方法も考えられます。
この場合、両方の薬品に同様の効果が含まれているため、残っている一方の薬を飲みきってから移行することを当院では推奨しています。
切り替え初期の体調変化・脱毛状況の観察
薬剤を切り替えた直後の数ヶ月間は、特に体調の変化や頭髪の状態(抜け毛の増減など)に注意深く目を向けることが重要です。
この期間に新たな副作用が現れたり、一時的に脱毛が悪化したりすることがあるためです。
何か気になる変化があれば、自己判断せずに速やかに医師に相談しましょう。日々の体調や頭髪の状態を記録しておくことも、医師とのコミュニケーションに役立ちます。
薬剤切り替え後のフォローアップと経過観察
薬剤の切り替えは、治療の終わりではなく、新たな治療段階の始まりです。切り替え後も適切なフォローアップと経過観察を続けることが、治療の成功にとって非常に重要となります。
定期的な医師の診察の重要性
薬剤を切り替えた後は、定期的に医師の診察を受けることが不可欠です 。医師は、新しい薬剤の効果が適切に現れているか、副作用は出ていないか、あるいは改善したかなどを評価します。
特に切り替え初期は、より頻繁な診察が必要となる場合があります。AGA治療は長期にわたるため、医師との信頼関係を築き、継続的に相談できる体制を整えることが望ましいです。
効果と副作用のモニタリング
フォローアップの主な目的は、切り替えた薬剤の治療効果と副作用のモニタリングです 。効果については、頭髪の状態、抜け毛の量、患者さん自身の満足度などを総合的に評価します。
副作用については、問診を通じて新たな副作用の発現や既存の副作用の変化を確認します。これらの評価に基づき、必要であれば用量の調整や再度の薬剤変更などが検討されることもあります。
自己観察のポイント
医師による定期的な診察に加えて、患者さん自身による日々の自己観察も重要です。
具体的には、毎日の洗髪時やブラッシング時の抜け毛の量、頭皮の状態(かゆみ、赤みなど)、鏡で見たときの髪の毛の密度や太さの変化、そして体調全般(特に副作用として注意すべき症状)などを意識的にチェックしましょう。
気になる点があればメモを取り、次回の診察時に医師に伝えることで、より的確な診断と治療につながります。
よくある質問
Q1: 切り替え後、すぐに効果や副作用の変化は現れますか?
効果や副作用の変化が現れるまでの期間には個人差があります。一般的に効果が目に見えて現れるまでには、少なくとも3ヶ月から6ヶ月程度の継続服用が必要とされています。
薬剤を切り替えた場合も同様で、新しい薬剤の効果を実感するにはある程度の時間が必要です。
副作用の変化については、効果よりも早く現れることがあります。
例えば、ザガーロからプロペシアへ切り替えた場合、副作用の軽減は数週間から数ヶ月以内に感じられることが多いとされています。
しかし、これも個人差が大きいため、焦らずに経過を見守ることが大切です。
Q2: 切り替え期間中に抜け毛が増えますか?
薬剤を切り替えた初期に、一時的に抜け毛が増えること(初期脱毛)があります。これは、ヘアサイクルが新しい薬剤の影響を受けて変化する過程で起こりうると考えられています。
多くの場合、この脱毛は一時的なものであり、その後、新しい薬剤の効果が現れてくると落ち着きます。しかし、抜け毛が異常に多い、あるいは長期間続く場合は、他の原因も考えられるため、速やかに医師に相談してください。
Q3: どちらの薬が自分に合っているか、どう判断すれば良いですか?
どの薬剤がご自身に最も適しているかは、AGAの進行度、これまでの治療歴、副作用への感受性、健康状態、ライフスタイル、そして費用面なども含めて総合的に判断する必要があります。
画一的に「こちらが良い」と言えるものではなく、個々の患者さんにとっての最適解は異なります。 AGA治療薬の選択や切り替えは、患者さん自身の体質や薄毛の進行状況、そして何よりも副作用への懸念など、多くの要素を考慮する必要があります。
まとめ
ザガーロとプロペシアの切り替えは、効果改善・副作用軽減・経済負担軽減を目指す有効な選択肢です。
DHT抑制効果の違い、副作用発現率の差、薬物動態の違い、費用差(年間3-6万円程度)など、多くの要素を考慮する必要があります。
最も重要なのは医師の指導のもとで行うことです。
年齢、進行度、副作用歴、経済状況、ライフスタイルを総合的に考慮し、専門医と十分に相談して最適な治療法を見つけることが、AGA治療の成功につながります。
効果に不満、副作用の悩み、費用面の不安、他の治療選択肢についてなど、リブラクリニックのオンライン診療をご利用ください。
経験豊富な専門医が、最新の医学的知見に基づいて、あなたの状況に最適な治療プランを一緒に考えます。
当院で取扱の薬品
当院では、国内正規品のプロペシアとプロペシアジェネリック(フィナステリド錠)、ザガーロとザガーロジェネリック(デュタステリド錠/カプセル)、ミノキシジル配合外用液5%、カルプロニウム塩化物外用液5%を処方しております。処方や服用方法に関して詳しくは下記ページをご覧ください。
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